CONTENTS目次(8項目)
  1. 01IT企業の年収相場はいくら?数字がバラつく理由と差を生む3つの軸
  2. 02IT企業の年収は統計でどう出る?公的統計の定義付き比較表
  3. 03年代別の年収は?20代前半から30歳・40代までの上がり方
  4. 04求人票の年収はどう読む?想定年収・みなし残業・賞与の中身
  5. 05IT企業の年収データで注意したい落とし穴
  6. 06年収が高いIT企業はどう見分ける?同じ基準で確認する項目
  7. 07IT企業の年収を調べるときの要点整理と次の一歩
  8. 08まとめ

この記事の要点

  • 年収の数字は統計ごとに母集団と定義が違う
  • 情報通信業の平均はIT職種の年収そのものではない
  • 差は職種・年代・企業規模の3軸で読み解く
  • 求人票は基本給・固定残業代・賞与に分けて確認
  • 企業比較は有報の平均年間給与を平均年齢と併読

01IT企業の年収相場はいくら?数字がバラつく理由と差を生む3つの軸

国税庁の年額と厚労省の月額では、同じ年収データとして直接比較できないことを示す比較図
公的統計は物差しが違います。国税庁は年額で賞与込み、厚労省の賃金構造基本統計調査は月額の所定内給与で残業代を含みません。
POINT

IT企業の年収に一つの正解はありません。統計ごとに「誰を・何の期間・どの賃金項目で」測るかが違うためです。

統計ごとに平均値が違うため「一つの正解」は存在しない

IT企業の年収を調べると、400万円台から700万円台まで、記事によって数字が大きく食い違います。間違っているのではなく、測っているものが違うのです。

国税庁の統計は、令和7年分で情報通信業の平均給与を681.9万円、平均賞与を124.3万円としています。一方、厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、2025年6月分の所定内給与額(月額、超過労働給与を除く)が基本です。年額の平均と月額の賃金は、そのままでは比較できません。

さらに、転職サービスの登録者データや成約データを使った数字もあります。母集団が公的統計とは違うため、同じ「ITエンジニアの平均年収」でも差が出ます。

数字を見たら、まず「出どころ」を確かめる習慣をつけてみてください。

年収差を生む軸は職種・年代・企業規模の3つ

年収の差は、大きく3つの軸で整理できます。

  • 職種(上流工程か下流工程か、PMやコンサルか)
  • 年代・経験年数
  • 企業規模・企業の系統(SIer、自社サービス、受託・SESなど)

職種別では、job tagの全国値でITコンサルタントとプロジェクトマネージャが889万円、組込み系システムエンジニアが578.5万円と、差が出ています。ただし、これは令和7年賃金構造基本統計調査を職種分類に当てはめた加工値で、当該職業のみの実態とは限りません。

企業規模による月額賃金の差は、第2章以降で確認します。

3つの軸は独立しているわけではありません。大企業ほど管理職が多い、といった形で重なり合います。

この記事で扱う範囲と、数字を見るときの前提

この記事では、IT企業の年収の「相場」と、その差が生まれる理由に絞って説明します。個別企業の順位づけや、転職時の交渉は扱いません。

数字を見るときは、次の4点を確認してください。

  • 公表年と調査時点
  • 対象(登録者、事業所、上場企業など)
  • 年額か月額か
  • 賞与・残業代を含むか

本文の数値は、出典の公表時点のものです。制度や統計は更新されます。最新値は各出典でご確認ください。

02IT企業の年収は統計でどう出る?公的統計の定義付き比較表

年代が上がるにつれて年収は上がりやすいが、30代以降は差が広がることを示す図
年収は年代とともに上がる傾向がありますが、30代以降は役割やスキルの違いで伸び幅が分かれやすくなります。
POINT

国税庁は「年間給与の平均」、厚生労働省は「月額の所定内給与」と、物差しそのものが違います。

国税庁と厚生労働省の統計の違いを比較表で確認

公的統計の定義を並べると、次のとおりです。

  • 国税庁 民間給与実態統計調査(令和7年分)

    何を測るか
    年間の給与
    単位・含む項目
    年額。給料・手当と賞与の合計
    対象
    民間事業所の給与所得者
  • 厚労省 賃金構造基本統計調査(令和7年)

    何を測るか
    2025年6月分の賃金
    単位・含む項目
    月額。所定内給与額
    対象
    常用労働者10人以上の民営事業所
  • job tag(厚労省)

    何を測るか
    職業別の年収
    単位・含む項目
    年収。賞与込みの加工値
    対象
    令和7年賃金構造基本統計調査の加工

国税庁の「給与」は、年間の給料・手当・賞与の合計で、給与所得控除前の収入です。通勤手当などの非課税分は含みません。

対象は民間事業所の給与所得者です。パート・アルバイトや役員は含みますが、官公庁等の職員は含みません。

厚生労働省の「賃金」は、所定内給与額の平均です。超過労働給与を除き、所得税等を控除する前の金額になります。

年収を知りたいのか、毎月の給与水準を知りたいのかによって、使う統計が変わります。

公表年・母集団・調査対象を見ないと数字を誤読する

同じ国税庁の統計でも、年が違えば数字が変わります。令和6年分の情報通信業は660万円で、前年より11万円増えました。令和7年分は681.9万円で、前年比+3.4%です。

平均給与そのものも動いています。1年を通じて勤務した給与所得者全体では、令和6年分の478万円から令和7年分の487万円になりました。

母集団にも目を向けてください。国税庁の調査は標本調査で、標本から全体を推計しています。

賃金構造基本統計調査は、79,321事業所に調査を行い、有効回答は59,836事業所でした。そのうち、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所52,242事業所を集計しています。

10人未満の事業所は入っていません。小規模なIT企業の実態は、この統計では見えません。

「情報通信業」の平均とIT職種の年収は同じではない

国税庁の「情報通信業」は、職種ではなく業種の区分です。通信業、放送業、情報サービス業、インターネット附随サービス業、映像・音声・文字情報制作業が含まれます。

つまり681.9万円は、通信や放送の会社で働く人も含めた平均です。ITエンジニア個人の年収を示す数字ではありません。

一方、job tagのような職業別の数字は、職種に着目しています。

  • 業種の平均

    例
    情報通信業(令和7年分)
    全国値
    681.9万円
  • 職種の平均

    例
    プロジェクトマネージャ
    全国値
    889万円
  • 職種の平均

    例
    組込み系システムエンジニア
    全国値
    578.5万円

業種の平均は、職種の平均の中間にあるように見えます。ただ、集計方法が別なので、足したり引いたりして比べるのは避けてください。

平均値と中央値で見える景色が変わる

平均値は、一部の高年収層に引っ張られます。

国税庁の情報通信業では、令和6年分に年収800万円超の給与所得者が25.7%という数字があります。約4人に1人が800万円超なので、その層が平均を押し上げています。平均は「多くの人の実額」とは限りません。

厚生労働省の令和6年3月調査は、正社員を対象に、ITスキルレベル別・役職別の賃金の中央値を示しています。企画立案・プロジェクト管理の役職別では、担当者・一般社員が600万円、課長が820万円、部長・本部長以上が1,000万円です。

職種を問わず、ITスキルレベルが高いほど賃金水準も高い傾向があります。

中央値は、ちょうど真ん中の人の値です。平均と中央値の両方が載っている資料は、見比べると実態をつかみやすくなります。

統計上の年収に残業代・賞与はどう含まれるか

含まれる項目は、統計ごとに異なります。

  • 国税庁:給料・手当と賞与の合計(年額)
  • 賃金構造基本統計調査の「賃金」:所定内給与額で、超過労働給与を除く
  • job tagの1時間当たり賃金:一般労働者は残業代・賞与を含み、短時間労働者は含まない

所定内給与額に残業代は入りません。月額賃金に12を掛けて年収を出しても、賞与も残業代も反映されない点に気をつけてください。

国税庁の令和7年分で、情報通信業の平均賞与は124.3万円です。平均給与のうち賞与が占める割合は、業種や企業によって異なります。年収を比べるときは、基本給の水準と賞与の額を分けて見てください。

出典URLと確認日を残しておく理由

統計は更新され、ページの場所も変わります。

数字をメモするときは、次の5点をセットで残しておくと、後から見返しても迷いません。

  • 統計名と公表年(例:令和7年分)
  • 出典のURL
  • 確認した日
  • 対象(業種か職種か、月額か年額か)
  • 含む項目(賞与・残業代の有無)

複数の候補企業を比べるときは、この記録がそのまま比較表になります。

数字だけ集めると、出どころの違う数字を混ぜてしまいがちです。

03年代別の年収は?20代前半から30歳・40代までの上がり方

求人票の想定年収は基本給・固定残業代・賞与に分けて確認する必要があることを示す図
求人票の想定年収は1つの数字のままでは比較しにくいため、基本給・固定残業代・賞与の3つに分けて中身を確認します。
POINT

年代別の年収は、どの統計でも年齢とともに上がる傾向がありますが、伸びる幅は企業や職種で大きく異なります。

未経験で入社した1年目の年収の見方

未経験で入社した1年目の年収は、月給に賞与がほぼ乗らない前提で考えると見誤りません。

新卒1年目の夏賞与は、算定期間に在籍していないため、寸志(数万円)にとどまるケースが多いです。本格的な賞与は、入社後初の冬からです。

求人票の年収が賞与込みで書かれていても、1年目の実際の受取額はそれより低くなります。意外に感じる方もいるかもしれません。

初任給は、大手IT(WEB系・SIer)で月25〜35万円という整理もあります。ただしこれは民間サイトのデータに基づく目安で、企業ごとの差は大きいため、気になる企業は公式採用ページで確認してください。

転職で職種を変える場合は、最初は前職より下がることがあります。

20代から30歳までにどこまで伸びるか

20代から30歳までの伸びは、企業の評価制度で変わります。

民間サイトの試算データでは、初任給22万円・賞与4か月の例で、昇給率3%なら10年後に月29.6万円、年収474万円です。昇給率1%と比べると、年間で85万円の差が出ます。

毎年の昇給率は小さな数字に見えますが、積み重なると差が開きます。

企業規模別に30歳平均年収を整理した民間サイトの目安では、大企業が550〜700万円、中堅企業が450〜600万円、中小企業が400〜500万円です。ただ、このデータはIT企業に限らない一般的な区分で、基準日の記載もありません。

参考程度にとどめ、候補企業の実数は有価証券報告書などで確かめてください。

30代・40代以降で差が広がるポイント

30代以降は、年収が高くなる人と伸び悩む人に分かれやすくなります。

分岐になりやすいのは、次の3点です。

  • ITスキルレベル(専門性の高さ)
  • 役職(担当者から課長・部長へ)
  • 担当する工程(上流か下流か)

令和6年3月調査の中央値は、設計・構築の役職別で、担当者・一般社員が500万円、課長が670万円、部長・本部長以上が800万円です。

ITコンサルタントのスキルレベル別年収(第一四分位〜第三四分位)は、レベル3が600万〜900万円です。レベル5以上になると700万〜1,100万円です。同じレベルの中でも幅が大きく、担当案件や成果で個人差が出ます。

40代以降は、技術力に加えて、プロジェクトを動かす力が収入に響きます。

経験年数・男女別データを見るときの注意

経験年数別や男女別の数字は、読み方にコツがあります。

厚生労働省の令和7年調査では、一般労働者全体の男女間賃金格差は、男性を100として76.6でした。これは全産業のデータで、IT業界に限った話ではありません。

推計値や加工値は、元の統計とは集計の仕方が違います。年齢別の数字は、同じ年の同じ統計の中だけで比べてください。

年代別の平均が上がっていても、自分がその水準に届くかは、職種・企業・評価で変わります。IT企業年収のデータは、目安として受け止めてください。

04求人票の年収はどう読む?想定年収・みなし残業・賞与の中身

平均年収は平均年齢・残業時間・職種構成の影響を受けるため、待遇の良さと直結しないことを示す図
平均年収の高さだけでは待遇は判断できません。平均年齢、残業時間、職種構成が数字を押し上げている場合があります。
POINT

求人票の年収は、内訳を分解して初めて比べられます。基本給・賞与・固定残業代の3つを分けて確認することが出発点です。

想定年収に含まれる項目を分解して確認する

求人票の「想定年収」には、いくつもの項目が一つの数字にまとめられています。

提示年収500万円なら、次のような内訳が考えられます。

項目金額
基本給月30万円×12か月で360万円
賞与基本給4か月分で120万円
固定残業代月2万円×12か月で24万円

基本給と賞与の合計だけでは年収に届きません。残りを固定残業代が埋めている形です。

確認する項目は次のとおりです。

  • 月額の基本給
  • 賞与は何か月分か、確定か変動か
  • 固定残業代の有無と金額
  • 諸手当の内容

同じ500万円でも、賞与の比率が高ければ、業績によって年収が変わりやすくなります。

みなし残業(固定残業代)の時間と金額のチェック方法

求人票では、固定残業代について次の明示が求められています。

  • 固定残業代の時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業代を除外した基本給の額
  • 固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で支払うこと

例として、月給25万円(うち固定残業代3万円含む、30時間分)なら、残業なしの実質的な月給は22万円です。

「月収30万円(残業代込み)」でも、基本給18万円・残業代12万円(月60時間相当)というケースがあります。内訳の確認が勧められているのは、こうした差があるためです。

固定残業時間が長いほど、基本給は低くなりがちです。賞与や退職金が基本給に連動する会社では、入社後に差が開くことがあります。

固定残業時間が月何時間か、超過分が支払われるかは、必ず確認してください。

賞与・昇給・手当が年収に与える影響

賞与や昇給の差は、数年後の年収に効いてきます。

賞与には、基本給連動型、業績連動型、個人評価連動型の3タイプがあります。民間サイトの整理では、日本企業の平均昇給率は年2〜3%、賞与は年4〜5か月分が標準です。

賞与「4か月」といっても、算定の基礎額や決算賞与の扱いで、実際の支給額は変わります。求人票を見るときは、過去3〜5年の昇給率や賞与の支給実績も確かめておくと安心です。

国税庁の令和7年分では、従業員10人未満と5,000人以上の差は、賞与が85.0万円、給料・手当が64.6万円でした。賞与の差のほうが大きい結果です。

全業種の数字ですが、企業規模による差は月給より賞与に表れやすい傾向があります。

フレックス・裁量労働制で年収や手取りはどう変わるか

フレックスタイム制や裁量労働制は、IT職種で導入している会社が多い制度です。

裁量労働制では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間を働いたものとみなします。残業代の扱いが通常の月給制と異なることがあります。

手取りは、民間サイトの目安で月給の約75〜80%です。月給25万円なら、手取りは約18〜20万円になります。

年収が同じでも、家賃や通勤費の補助、在宅手当などによって、実際に使えるお金は変わります。

求人票の年収と入社後の実績がズレやすい場面

求人票の年収と入社後の実績は、次の場面でズレやすくなります。

  • 固定残業時間を超えた分が追加で支払われない
  • 賞与が業績連動で、想定より低い
  • 入社1年目に賞与が満額出ない
  • 想定年収の上限が、一定の評価を得た場合の額

想定年収が「最大でこの額」というレンジなら、自分がどこに入るのかを面接で確認してください。

評価制度や昇給の基準は社外に出にくいものです。面接で「昇給・昇格の基準」「評価の頻度」を質問すると、実態に近づけます。

労働条件通知書やオファーレターで、基本給・固定残業代・賞与・就業時間を確認することも欠かせません。

05IT企業の年収データで注意したい落とし穴

高年収のIT企業を比べるときは、採用ページと有報・IRを同じ決算期でそろえて記録する流れを示す図
企業比較は、採用ページと有価証券報告書・IR資料を同じ決算期でそろえ、URLと確認日を残すと基準がぶれません。
POINT

平均年収の高さは、待遇の良さの証明にはなりません。年齢構成や残業時間、職種の構成が平均を動かしているためです。

平均年収が高い=待遇が良いとは限らない

平均年収が高い企業が、働きやすいとは限りません。給与が高くても、長時間労働や強いプレッシャーから離職率が高くなるケースがあるとされています。

3年以内の離職率を見ると、大卒の情報通信業は約28%で、全国平均の約34%を下回ります。意外に思われるかもしれませんが、業界全体では低めです。一方で、SES・中小SIerは約35%と、業態によって差があります。

新卒3年以内の離職理由は、上位から労働時間・休日・休暇、人間関係、仕事内容、賃金の条件の順です。年収だけでなく、労働時間や休日もあわせて見ておきたいところです。

年齢構成・残業時間・職種構成で平均が動く

平均は、社員の構成によって動きます。

  • 平均年齢が高い会社は、平均が高くなりやすい
  • 残業が多い会社は、残業代で給与総額が上がる
  • 上流職種(コンサル・PM)が多い会社は、平均が高くなる

job tagでは、ITコンサルタントとプロジェクトマネージャの年齢が38.3歳、組込み系システムエンジニアが37.1歳です。年収の差には、年齢の差も混ざっています。

平均年収を比べるなら、平均年齢とセットで見ましょう。

年収が下がる・上がらないケースの典型

年収が下がる、あるいは上がりにくいケースは、次のような場合です。

  • 職種を変える転職で、一時的に給与が下がる
  • 昇給制度がない、または評価基準が曖昧
  • 固定残業代の比率が高く、基本給が低い
  • 担当工程が下流にとどまる

令和6年3月調査では、ITスキル向上、昇進・昇格、リスキリング、非情報通信業への転職が賃金上昇に関係する要素とされています。企業は採用時にITスキルレベルを最も重視し、次いで経験・成果を重視しています。

スキルを積み、役割を広げる動きが、年収の上昇につながりやすいと考えられます。

古い統計や母集団の違う数字を混ぜるリスク

出どころの違う数字を混ぜると、結論がぶれます。

令和6年分の情報通信業は660万円、令和7年分は681.9万円です。この2つを同じ年の数字のように並べると、誤読のもとになります。

また、国税庁の平均(年額、賞与込み)と賃金構造基本統計調査の月額(所定内)を、そのまま比べるのも避けてください。数字を引用するときは、公表年・対象・定義をそろえましょう。

06年収が高いIT企業はどう見分ける?同じ基準で確認する項目

POINT

高年収の企業を探すなら、順位表より「同じ決算期・同じ指標」で自分で並べる方が確実です。

公式採用ページとIR資料を同一基準で確認する手順

候補の企業を比べるときは、同じ基準で確認します。見るポイントは次のとおりです。

  • 公式採用ページで初任給・年収例・福利厚生を確認
  • IR資料や有価証券報告書で平均年間給与を確認
  • 同じ決算期の資料にそろえる
  • URLと確認日を記録

資料をそろえる理由は、決算期がずれると数字の比較ができなくなるからです。確認日を残しておけば、後から見返すときにも迷いません。

金融庁の開示例では、ITサービス業界で多様かつ専門性の高い人材が不可欠とされ、人材戦略の開示が進んでいます。NTTデータグループは、2022年度〜2025年度の中期経営計画で「人財・組織力の最大化」を最優先テーマに掲げています。

人材への投資姿勢は、採用ページとIR資料の両方から読み取れます。

有価証券報告書の平均年間給与は平均年齢・従業員数とセットで見る

有価証券報告書の平均年間給与は、平均年齢・従業員数とあわせて確認します。数字だけを切り出すと、実態とずれて見えることがあるためです。

持株会社では、グループ全体ではなく、持株会社の従業員だけの平均になる場合があります。平均年齢が高い企業は平均年間給与も高くなりやすいので、単純に並べると誤解しかねません。

賞与や基準外賃金が含まれるかどうかは、有価証券報告書の記載で確かめてください。

外資系は、日本法人の有価証券報告書がない場合も多く、横並びの比較が難しくなります。

ランキングや口コミを参考にするときの距離感

ランキングを参考にするのは、調査基準と時点が明示されている場合に限ります。学生人気ランキングなどは、年収とは別の軸で作られたものです。

口コミは個人の感想にとどまり、投稿者の職種や年次が分からないことも多くあります。

年収の高さだけで決めず、労働時間や休日、離職率もあわせて見るようにしましょう。

07IT企業の年収を調べるときの要点整理と次の一歩

POINT

IT企業の年収は、統計の定義・職種・年代・企業規模の4点を押さえれば、読み解けます。

数字を見るときの要点は、次のとおりです。

  • 統計名・公表年・対象・年額か月額かを必ず確認する
  • 情報通信業の平均は、職種の年収とは別物
  • 平均値だけでなく、中央値や分布も見る
  • 求人票は基本給・賞与・固定残業代に分ける
  • 企業は同じ基準で、有価証券報告書の平均年齢とセットで見る

国税庁の令和7年分では、情報通信業の平均給与は681.9万円、全体は487万円です。

この差は業種全体の平均であり、個人の年収を保証するものではありません。

次の一歩として、気になる職種のjob tagのページを開き、スキルレベル別の年収の幅を確認してみてください。

続いて、候補企業の有価証券報告書で平均年間給与・平均年齢・従業員数を調べ、URLと確認日を表に残します。

求人票では、想定年収の内訳と固定残業時間をチェックしましょう。面接では、評価と昇給の基準も質問してください。

SUMMARYまとめ

IT企業の年収は、統計の種類、職種、年代、企業規模のどれを見ているかで数字が変わります。まず出典の母集団と定義をそろえてください。そのうえで、求人票の想定年収を基本給・固定残業代・賞与に分けて確認します。

気になる企業があれば、有価証券報告書の平均年間給与を、平均年齢や従業員数とあわせて見ると判断しやすくなります。この記事は、IT・Web業界への転職を考え始め、IT企業年収の見方を整えたい方に特に役立ちます。

今見ている数字は、自分と同じ条件の人を測ったものでしょうか。

FAQ

よくある質問

Q国税庁の統計では、情報通信業の平均年収はいくらですか?
A国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、情報通信業の平均給与は681.9万円(前年比3.4%増)で、平均賞与は124.3万円です。1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均487万円を上回っています。ただし情報通信業には通信業、放送業、映像・音声・文字情報制作業なども含まれます。IT職種だけの年収ではない点に注意してください。
QSE・プログラマー・PM・ITコンサルなど職種で年収はどのくらい違いますか?
A厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した全国平均年収として、ITコンサルタントとプロジェクトマネージャ(IT)が889万円、システムエンジニア(組込み、IoT)が578.5万円と掲載されています。上流工程や管理に近い職種ほど高い傾向があります。統計の職種分類は当該職業のみとは限らないため、目安として見るのが安全です。
QIT企業の年収は企業規模でどれくらい変わりますか?
A厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、所定内給与額(月額・男女計・超過労働給与を除く)は大企業(常用労働者1,000人以上)385.1千円、中企業(100〜999人)326.2千円、小企業(10〜99人)305.6千円です。これは全産業の数値で、IT企業に限った値ではありません。賞与を含めた年収の差は、この月額差とは別に確認する必要があります。
Q求人票の想定年収はどこを確認すればよいですか?
Aまず基本給、賞与の月数(確定か変動か)、固定残業代の有無を分けて確認してください。固定残業代を含む場合は、時間数と金額、除いた基本給の額、超過分を追加で支払う旨の明示が求められています。たとえば月給25万円のうち固定残業代3万円(30時間分)なら、残業なしの月給は22万円です。手当や昇給の実績も面接で聞いておくと、入社後のズレを減らせます。
Q年収が高いIT企業はどうやって見分ければよいですか?
A公式採用ページと有価証券報告書などのIR資料を、同じ決算期・同じ指標でそろえて比べるのが基本です。有価証券報告書の平均年間給与は、平均年齢や従業員数とセットで見てください。平均年齢が高い企業は水準が上がりやすい傾向があります。ランキングや口コミは集計条件がそろっているかを確かめ、参考程度にとどめるのが無難です。

出典・参考

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