CONTENTS目次(13項目)
  1. 01IT転職に必要なスキルは職種で変わる?まず押さえる判断の軸
  2. 02職種別に見るIT転職で求められるスキルの違い
  3. 03求人票の必須スキルと歓迎スキルはどう読み分ける?
  4. 04自分のスキルを棚卸しして求人票とのギャップを可視化する方法
  5. 05スキル不足はどう補う?独学・スクール・資格・実務の選び方
  6. 06スキル不足でも応募していい?見送るべき?判断基準と落とし穴
  7. 07プログラミングスキル
  8. 08コミュニケーションスキル
  9. 09マネジメントスキル
  10. 10論理的思考力
  11. 11ドキュメント作成スキル
  12. 12関連コンテンツ
  13. 13まとめ

この記事の要点

  • 全職種に共通するスキルはなく役割で要件が変わる
  • 求人票は技術・業務経験・ポータブルの3層で読む
  • 必須要件の充足・一部・不足を判定して差を見る
  • 不足は実務・個人制作・学習・資格から手段を選ぶ
  • 必須の不足が少なく補える見込みなら応募を検討

01IT転職に必要なスキルは職種で変わる?まず押さえる判断の軸

技術・業務経験・調整や計画の力を分けて整理する
求人票は、技術・業務経験・ポータブルスキルの3つに分けて読みます。
POINT

求人票ごとに求められるスキルは違います。自分の足りない部分は、職種と求人票の文言に照らして初めて見えてきます。

全職種に同じスキルを求める求人はない

IT転職のスキルを調べると、言語や資格の一覧がずらりと並びます。ただ、その全部を身につける必要はありません。職種によって、求人票が見ているポイントがまったく違うからです。

経済産業省とIPAが公開するDX推進スキル標準では、DXに必要な役割を6つの類型に分けています。挙げられているのは、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの6つです。

各類型は、指示や依頼の関係ではなく、協働して連携する関係とされています。「IT職種」とひとまとめにせず、どの役割に寄せるかを先に決めてください。ここが出発点です。

この標準は企業のDX推進人材の指針で、個別の求人票の要件そのものではありません。

スキルは技術・業務経験・ポータブルスキルの3層で見る

求人票のスキル欄は、次の3層に分けると読みやすくなります。

  • 技術:言語、フレームワーク、OS、クラウドなどのツール
  • 業務経験:担当した工程、プロジェクト規模、チーム内の役割
  • ポータブルスキル:課題設定、計画立案、社内外との調整など

厚生労働省のポータブルスキル見える化ツールは、業種や職種が変わっても使える能力を整理したものです。軸になるのは「仕事のし方」と「人との関わり方」の9要素で、専門技術は含みません。

技術だけを磨いても、残り2層の準備が空いていれば書類では伝わりません。

この記事で使う求人票ギャップ整理の4ステップ

この記事では、次の4ステップで求人票との差を測ります。

  1. 1.狙う職種(役割)を決める
  2. 2.求人票の要件を3層に分けて読む
  3. 3.自分の経歴と突き合わせて、充足・一部・不足に振り分ける
  4. 4.不足を補うか、応募・見送りを決める

以降の章は、この順番で進めます。職種の違いそのものを深く知りたい方は、Webエンジニアの職種地図|フロント・バック・SREの違いもあわせてご覧ください。

02職種別に見るIT転職で求められるスキルの違い

POINT

開発・インフラ・上流で、求人票が見る技術と経験の重心は変わります。自分に近い職種を選ぶ作業が先です。

開発系(フロント・バックエンド・アプリ)で見られる技術と経験

開発系の求人は、使用言語とフレームワークが中心に問われます。フロントエンドならHTML、CSS、JavaScriptが土台です。サーバーサイドではPHPやRuby、Javaなどの言語に加えて、OSの知識も見られます。

モバイルアプリでは、AndroidとiOSで言語が異なります。両方扱えれば、選べる求人の幅が広がる傾向があります。

言語選びに迷う方は、求人数の多さも判断材料にしてみてください。厚生労働省のリスキリング支援事業の体験談では、キャリア相談でJavaは求人数が多く汎用性が高いと説明されました。この説明を受けてJava講座を選んだ例も紹介されています。

一方、組込み系SEの職業情報では、C言語系での開発が多いとされています。処理時間やメモリの制約下で作る点も特徴です。同じ開発でも、領域によって求められる技術は別物です。

インフラ・クラウド・SRE系で見られる技術と経験

インフラ系では、ネットワーク、サーバー、クラウドのどこを担当してきたかが問われます。評価の軸は、扱える機器や製品の種類と、構築をどこまで一人でやれたかです。

クラウド前提の設計は増えています。オンプレミスの経験があれば、クラウドエンジニアへ移りやすい傾向があります。資格では、ネットワークならCCNA、クラウドならAWS認定が知られています。

SREのように開発とインフラの両方に近い職種では、運用の自動化に使うコード力も問われます。求人票の「運用」「自動化」という文言を見て、どちらに比重があるかを読み取ってください。

社内SE・セールスエンジニア・PMで重視されるスキル

上流寄りの職種は、技術だけでは足りません。職種ごとに並べると、違いがつかみやすくなります。

  • 社内SE

    重視されやすい点
    企画、要件定義、運用保守
    比重の高い層
    業務経験
  • セールスエンジニア

    重視されやすい点
    自社製品知識と営業力
    比重の高い層
    技術+対人
  • PM

    重視されやすい点
    品質・納期・コスト管理
    比重の高い層
    管理経験

表のとおり、技術一辺倒ではない職種ほど、業務経験とポータブルスキルの比重が上がります。プログラミング経験が浅くても、調整や進行管理の実績が武器になる場合があります。

エンジニアとWebマーケターでは事前に必要なスキルがどう違うか

エンジニアは、コードを書く技術と設計の基礎が入口です。応募前に、動くアプリなどの成果物で示せると有利に働きます。

Webマーケターは、広告運用や分析、サイト改善など、成果を数字で語る力が軸です。コードが書けることは、入口の条件にならない場合が多いです。

両者を比べるなら、「作る側」か「成果を出す側」かで考えてください。職種ごとの要件は求人票で確認できます。迷ったら、職業情報提供サイトの職業詳細ページで仕事内容を見ておくと判断しやすくなります。

自社開発企業とSES企業で面接評価が変わるポイント

事業形態によって、面接で聞かれる中身は変わる傾向があります。ただ、どちらがどう評価するかを断定できる公的な裏付けはありません。

確認できる範囲では、次の点が実用的です。

  • 担当した工程と役割を具体的に語れること
  • 使った技術を選んだ理由を説明できること
  • 配属先が変わっても通用する基礎力があること

求人票の文面や面接では、開発中心か運用中心か、案件の選び方はどうかを自分から質問してください。入社後のギャップを減らす行動になります。

03求人票の必須スキルと歓迎スキルはどう読み分ける?

必須条件と歓迎条件を分けて読み取る
必須と歓迎を分け、年数だけでなく求められる工程や役割を確認します。
POINT

「必須」の文言は未達でも応募できる場合がありますが、見る視点は工程と役割です。年数だけで判断せず、中身を読み解きます。

必須・歓迎・尚可の書き分けと意味合い

必須、歓迎、尚可の書き分けには、公的な統一定義がありません。企業ごとに書き方が違う前提で読みます。

一般的には、必須は「入社時点で求める最低ライン」、歓迎や尚可は「あれば評価が上がる要素」と受け取られます。必須と書いてあっても、他の経験で補える余地が残る求人はあります。

迷ったら、募集要項の仕事内容欄と見比べてください。仕事内容に出てくる作業が、実際に求められる必須スキルです。

「実務経験1年以上」は個人開発やポートフォリオで代替できるか

個人開発で実務経験を代替できるかどうかは、企業ごとの判断になります。一律に「できる」とも「できない」とも言えません。

参考になるのは、スキル標準の考え方です。宇宙スキル標準の試作版では、スキルレベルを業務範囲・自立性・資格・経験年数の4軸で見て、各軸を5段階で評価します。年数は評価軸の1つにすぎません。

年数が足りなくても、担当範囲や自走できた度合いで示す道があります。応募時は、個人開発で何を一人で完結させたかを具体的に書いてください。

求人票の具体例で読む必須要件と歓迎要件の判断手順

次は架空の例文です(実在の求人ではありません)。

  • 必須:Javaでの開発経験、SQLの基礎知識
  • 歓迎:クラウド環境での開発経験、チーム開発の経験
  • 仕事内容:業務システムの設計・開発・テスト

手順は次のとおりです。

  1. 1.仕事内容から、実際に使う技術と工程を拾う
  2. 2.必須を3層(技術・経験・ポータブル)に振り分ける
  3. 3.自分の経歴で、それぞれ充足か不足かを判定する

この例なら、Javaは技術層に入ります。設計から開発・テストまでは、工程の経験層です。

足りない項目が1〜2個で、補う手段があるなら応募を検討します。これが筆者の提案する目安です。

年収帯が違う求人でスキルセットはどう変わるか

厚生労働省の令和6年3月調査では、職種を問わずITスキルレベルが高いほど賃金水準が高い傾向がありました。企業は採用時に、ITスキルレベルを最も重視していたそうです。

同じ調査での設計・構築の年収中央値は、次のとおりです(正社員のみ)。

項目金額
ITスキルレベル1〜2500万円
ITスキルレベル3550万円
ITスキルレベル4635万円
ITスキルレベル5以上700万円

年収が上がる求人ほど、上流工程や管理の経験が求められやすいと読むのが自然です。ただし、この数字は調査対象の集計であり、個別の求人の条件ではありません。

04自分のスキルを棚卸しして求人票とのギャップを可視化する方法

求人票との差を充足・一部・不足に分ける
求人の要件と経験を照合し、充足・一部・不足に分けて根拠を整理します。
POINT

経歴を技術・工程・業務知識に分けて書き出すと、求人票との差が数えられる形になります。

職務経歴から技術・工程・業務知識を書き出す

棚卸しは、今の仕事を「できること」の形に直す作業です。次の視点で書き出してみましょう。

  • 技術:使った言語、ツール、環境
  • 工程:要件定義、設計、開発、テスト、運用のどこまで
  • 業務知識:会計、受発注管理など、業界で覚えた知識
  • 管理経験:人数、期間、役割

IT経験がない方でも、前職で身につけた業務知識や進行管理は書けます。厚生労働省のジョブ・カードやjob tagは、職務の棚卸しや職業理解に使えます。

求人票と自分のスキルを突き合わせる比較表

求人票の文言ごとに、次のような表をつくります。

  • Java開発経験

    読み取る意味
    技術層
    自分の状況
    一部
  • 設計〜テスト

    読み取る意味
    工程経験
    自分の状況
    不足
  • 顧客折衝

    読み取る意味
    ポータブル
    自分の状況
    充足

自分の状況の列には、充足・一部・不足のいずれかを書き込みます。「次の一手」の列を足すと使いやすくなります。ただしスマホで読み返すなら、4列以内に収めてください。

ギャップ判定チェックリスト(充足・一部・不足)

判定の目安は次のとおりです。

  • 充足:実務で一人で完結した経験がある
  • 一部:補助的に関わった、または個人制作で触れた
  • 不足:経験も学習もほぼない

必須項目のうち不足が多い求人は、今回は見送り候補です。不足が少なく補える見込みがあれば、第5章で見る補い方に進みましょう。

未経験・異業種の人が最低限そろえたいスキル

未経験なら、IT全般の基礎知識(ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティ)が入口です。IPAの基本情報技術者試験は、IT全般の基礎を問い、ITエンジニアの登竜門とされています。

加えて、いずれかの言語で簡単なアプリを作った経験があると、書類で説明しやすくなります。前職の業界知識は、同じ業界のIT職で活きる場合があります。

05スキル不足はどう補う?独学・スクール・資格・実務の選び方

不足に応じて実務・個人制作・学習・資格を使い分ける
不足を補う手段は、志望職種と具体的な課題に合わせて選びます。
POINT

不足を埋める手段は、目指す職種から逆算して選びます。資格や講座の有無より、何を作れて何を説明できるかが問われます。

不足スキルの優先順位のつけ方

優先順位は、次の順で決めるとぶれません。

  1. 1.狙う求人の必須要件のうち、不足しているもの
  2. 2.複数の求人で共通して出てくる技術
  3. 3.歓迎要件のうち、短期間で触れられるもの

複数の求人票を並べて、共通する言語やツールを探してみてください。応募数の多い領域から学べば、遠回りが減ります。

独学とスクールで転職時の評価に差は出るか

学習方法そのものが選考での評価を決めるという裏付けはありません。見られるのは、何を作り、どこまで説明できるかです。

スクールは費用がかかる一方、つまずいたときに質問できる環境が得られます。独学は費用を抑えやすい反面、迷ったときに手が止まりやすい点には注意しましょう。

公的な選択肢もあります。ハロートレーニングは、新しい分野での就職を目指す人向けの職業訓練です。受講料は無料ですが、テキスト代などは自己負担となります。

IoTシステム技術科や情報ネットワーク技術科などがあり、未経験者を前提に基礎から指導する設計とされています。

資格は転職でどこまで有利になるか

IPAの試験は国家試験です。基本情報技術者試験は基本的知識・技能、応用情報技術者試験は応用的知識・技能を扱います。高度試験には、プロジェクトマネージャやネットワークスペシャリストなどがあります。

ITSSを基にした厚生労働省の調査では、企業は履歴書で能力を把握し、各種証明や会社独自の基準で補っていました。

つまり、資格は能力を示す補助材料の1つです。実務経験が薄い方にとっては、基礎知識の証明として活用しやすいでしょう。

働きながら学習する場合の期間の見立て方

学習期間の一律の目安は、公的資料では確認できません。そのため、教材の学習時間から逆算するのが現実的です。

一例として、ITエンジニア転職向けの講座には、標準学習時間を840時間とする完全オンラインのコースがあります。

平日に確保できる時間と休日の時間を足し、週あたりの学習時間を出してください。840時間を週10時間で割れば、およそ84週間かかります。ただし、これはこのコースを例にした単純計算で、個人差があります。

ポートフォリオと実績の示し方

ポートフォリオは、作ったものだけでなく、工夫した点まで書くと伝わります。職務経歴書には、期間、担当業務、環境・言語、役割と規模を整理してください。

実績は、数字で示せる形に直します。たとえば、作業時間を短縮したツールの改善など、前職の仕事でも材料は見つかります。

ポートフォリオのURLを応募書類に添えておくと、見る側が確認しやすくなります。

06スキル不足でも応募していい?見送るべき?判断基準と落とし穴

必須要件との差と補い方を見て、応募か準備優先かを考える
必須要件との差と補う見込みを確かめ、応募するか準備を優先するか判断します。
POINT

必須の不足が少なく、補う手段があるなら応募を検討します。見送る基準を先に決めておくと、迷いが減ります。

応募してよい目安と見送る目安

次は、筆者の提案としての目安です。

  • 応募してよい:必須の不足が1〜2個で、学習や実績で補える
  • 条件付きで応募:不足は多いが、職種の方向性が合っている
  • 見送る:必須の中心となる技術・工程がほぼ未経験

見送ったあとも、不足項目を学べば次回の応募に活かせます。

書類選考で落ち続けるときの見直しポイント

書類で落ち続けるときは、次の3点を見直してみてください。

  • 求人票の言葉と書類の言葉がずれていないか
  • 工程・役割・担当規模が具体的か
  • 誤字脱字や読みにくい表記がないか

入社後にギャップで苦労しやすい点と注意すべきリスク

入社後のギャップは、配属や担当工程から起きやすい傾向があります。開発中心の求人だと思ったら運用が中心だった、といった食い違いです。

面接では、入社後の担当工程、チーム体制、使う技術を質問しておきましょう。市場の需要から外れた専門領域に絞りすぎると、転職の選択肢が狭まる場合もあります。

生成AIの普及で価値が変わるスキルの考え方

経済産業省とIPAのタスクフォースでは、AI時代の課題として、AIが生成したコードの経緯を残す(トレーサビリティ)ことが挙がりました。つまり「どうしてこうなったか」を後から説明できる人が求められる、ということです。

AIがコードを出す場面が増えるほど、課題を整理する力や構造を説明する力の価値が上がる、という議論です。

コードを書く速さを競うより、AIの出力を読み解いて設計意図を言葉にする練習のほうが、応募先で通用する武器になりそうです。面接でも、自分の書いたコードの理由を聞かれて困らない準備をしておきたいところです。

07プログラミングスキル

POINT

プログラミングは、多くのエンジニア求人で土台になるスキルです。言語は、携わりたい領域から選びます。

求人票に「Java」「PHP」「JavaScript」と並んでいるのは、その職場でコードを書く場面があるからです。応募前に見るのは、言語名よりも、プログラムを作り、テストし、不具合を直し、保守するところまで自分が回せるかどうかです。

職種によって比重は違います。開発職では中心になるスキルですが、PMやコンサルでも、工数見積もりのために構造を理解しておくと役立ちます。

つまり、書類の段階では「何を書けるか」だけでなく、「どの工程まで担当したか」を説明できる状態にしておくと有利です。

学ぶ言語は、狙う領域から決めてください。Web分野なら、フロントエンドはJavaScript、サーバー側はPHPやJavaなどが候補です。まず1つ目を深く学び、2つ目は同じ領域で広げていくと進めやすいでしょう。

08コミュニケーションスキル

POINT

技術職でも、顧客や同僚との意思疎通が成果を左右します。ヒアリングから報告まで、日々の業務で試されます。

経済産業省とIPAのタスクフォースでは、エンジニアに必要なスキルとして「コミュニケーション能力(ロジカル言語技術)」が挙げられました。構造化されたトレーニングで習得できるとの整理もあります。

組込みSEの職業情報でも、共同作業のためチームワークや能動的な提案姿勢が求められるとされています。

面接では、要望を聞いて整理した経験や、トラブルを報告した経験を、具体的な場面で語れるようにしておきましょう。

09マネジメントスキル

POINT

経験を積むほど、技術に加えて管理の力が問われます。小さな役割でも、経験として書き出せます。

組込みSEの職業情報では、経験を積むとプロジェクトマネージャー等を目指せるとされています。

マネジメントは、役職がなければ書けないわけではありません。チーム内で進捗を管理した、後輩の質問に答えたといった経験も、整理すれば立派なアピール材料になります。

応募時は、人数、期間、自分の役割を書き添えてください。PM職を狙うなら、品質・納期・コストのうちどれを担当したのかを明確にしておくと伝わりやすくなります。

10論理的思考力

POINT

課題を分解して、筋道を立てて説明する力は、職種を問わず問われます。

タスクフォースでは、課題解決力が第1のキーワードに挙げられました。アーキテクチャの構想力は、全体の構造を論理的に組み立て、なぜその構造にするのかを説明する力と整理されています。

バグの原因を探す場面を想像してみてください。症状から原因を絞り、再発を防ぐ手を考える流れが、論理的思考そのものです。

面接では、問題が起きたときに何を考え、どう絞り込んだかを順を追って話せるよう準備しておきましょう。

11ドキュメント作成スキル

POINT

設計書や報告書を書く力は、コードを書けない場面でも評価される、職種をまたぐ土台です。

IT転職でスキルを棚卸しすると、言語やツールばかりに目が向きがちです。しかし職務経歴書の書き方ひとつで、書類選考の通りやすさが変わる場合があります。

組込み系SEの仕事を紹介している厚生労働省の職業情報提供サイトでは、要件定義、設計、テスト、進捗管理といった工程が仕事内容に含まれています。顧客要件の聞き取りから開発までできると一人前と見なされる、という記載もあります。[出典4] 各工程には成果物としての文書がつきものです。

求人票では、次のような文言がドキュメント作成スキルの手がかりになります。

求人票の文言読み取れる中身
要件定義の経験要望を整理し文書にまとめる力
基本設計・詳細設計設計書を書く、読む力
テスト設計・実施テスト仕様書、結果報告の作成
顧客折衝・提案提案資料や議事録の作成

表を見ると、プログラミング中心の職種に見えても、文書を扱う場面は複数の工程に散らばっています。逆に言えば、開発経験が浅くても、設計書やテスト仕様書の作成経験があれば、棚卸しの材料になります。

前職でマニュアルや手順書、報告書を作っていた方は、まずその実績を書き出してみてください。ITの文書と形式は違っても、相手に伝わる順序で書く力は転用しやすいスキルです。

ただし、求人によっては文書作成がほぼ求められない職種もあります。応募前に仕事内容の記載を読み、設計や調整の工程が含まれるかを確認してください。

12関連コンテンツ

POINT

求人票の読み方は職種の違いを知るほど精度が上がります。次の一歩として、職種の全体像を押さえておくと判断がぶれにくくなります。

求人票のスキル要件を正しく読むには、そもそもどんな職種があり、どこが違うのかを知っておく必要があります。同じ「エンジニア」という肩書きでも、担う工程や求められる技術が大きく異なるためです。

職種の違いを整理したい方には、次の記事が役立ちます。

フロントエンド、バックエンド、SREがそれぞれ何を担当するのかを比べられます。自分が寄せたい役割を決める材料になるでしょう。

役割が決まれば、求人票の「必須」と「歓迎」のどこを自分と照らすかも見えてきます。気になる職種が見つかったら、本記事の棚卸しチェックリストに戻って、充足・一部・不足を判定してみてください。

職種の公式な解説を確認したいときは、厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)が便利です。仕事内容や使われる技術、関連するタスクが職業ごとにまとまっています。応募前に志望職種のページへ目を通しておくと、求人票の言葉が実際の仕事とどう結びつくか判断しやすくなります。

SUMMARYまとめ

IT転職のスキルは、職種ごとに見られる点が違います。求人票を技術・業務経験・ポータブルスキルの3層に分け、自分の状況を充足・一部・不足で判定すると、補うべき点と応募の可否が見えてきます。今のスキルのまま応募した場合、書類でどこが評価され、どこで止まりそうでしょうか。気になる求人票を1枚選び、必須要件から順に突き合わせてみてください。職種選びに迷う方、未経験や異業種から挑戦する方、書類選考が続かない方に特に役立つ内容です。

FAQ

よくある質問

QIT転職で必要なスキルは、プログラミング言語とコミュニケーション力のどちらを優先すべきですか?
A職種によって優先度が変わるため、先に狙う職種を決めてください。開発系なら使用言語やフレームワークが選考の軸になりやすく、社内SEやPMでは要件整理や調整の経験が重視される傾向があります。ただし、どの職種でも要件の聞き取りや進捗報告など、人と進める力は求められます。求人票を技術・業務経験・ポータブルスキルの3層に分けて読み、自分の不足が大きい層から補うのが現実的です。
Q求人票の「実務経験1年以上」は、個人開発やポートフォリオで代替できますか?
A代替できる場合もありますが、必ず通るとは言えません。企業が見ているのは年数そのものより、どの工程にどの水準で関わったかであることが多く、年数の記載が目安にとどまる求人もあります。個人開発を示すなら、使った技術、設計や運用の工夫、チーム開発やGit利用の有無まで書くと伝わりやすくなります。迷う場合は、応募先の募集要項や問い合わせ窓口で未経験や経験不足の扱いを確認してください。
Qスクールに通うのと独学とでは、転職時の評価に差が出ますか?
A学習方法そのものより、何を作れて何を説明できるかで評価される傾向があります。スクールは疑問点を質問でき、挫折しにくい点が利点ですが、費用がかかります。独学は費用を抑えられる一方、つまずいたときに自分で解決する力が要ります。どちらでも、成果物と学習の過程を職務経歴書やスキルシートに具体的に書けるかが分かれ目になります。
Q基本情報技術者などの資格は、IT転職でどこまで有利になりますか?
A資格だけで採用が決まるわけではなく、基礎知識の裏付けとして使うのが基本です。基本情報技術者試験はIPAが実施する国家試験で、ITエンジニアの登竜門とされています。実務経験が浅い段階では基礎力の目安になりますが、経験を積んだ人は実務の成果のほうが評価される傾向があります。取得に何か月かけるかは、志望職種で求人票に資格が挙がっているかを見て決めるとよいでしょう。
Qスキルが足りないと感じても応募してよいですか?
A必須要件の不足が少なく、補う手段があるなら応募を検討できます。目安として、必須要件の不足が1〜2個で、学習中の技術や近い経験で説明できるなら条件付きで応募しやすいです。逆に、必須の中核技術や必要な工程経験がほとんど当てはまらない場合は、見送って先に経験を積む選択も有効です。判断前に、棚卸しの結果を充足・一部・不足の3段階で整理しておくと迷いにくくなります。

出典・参考

  1. [1]出典 1
  2. [2]出典 2
  3. [3]出典 3
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  11. [11]出典 11
  12. [12]出典 12
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